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2009年10月 9日 (金)

『해변의 카프카』제15장

 たまさんの第14章に続きます。

 この第15章(「상상력과 꿈에 대한 공포 想像力と夢に対する恐怖」)には、オオシマさんに連れて行かれた丸太小屋での生活が綴られています。カフカは、丸太小屋に独り取り残された孤独感と自然への畏怖を強烈に感じます。

 途中、カフカが、見上げた夜空に無数の星を見たときの恐怖が描かれていますが、私はこれとまったく同じ感覚を小学生のときに感じました。夏休みにキャンプ場かどこかに行って、夜空を見上げたら、見たことのないような多くの星が降り注いでいました。何億光年という遠い彼方から放たれた光が、今、自分が立っている場所に届いているという、とんでもなく果てしない時間を想像したら、まるで車酔いでもしたかのように、平衡感覚が保てない状態になりました。自分が生まれる前、そして死んでからも延々と続く時間軸に急に足をすくわれたような感覚で、あまりにもちっぽけで存在すらあるのかないのかわからないような私って…?という思いが押し寄せてきて…。まさにカフカと同じように、急激に息苦しさを伴って、ものすごい恐怖に包まれたことを今でも覚えています

 この章を読みながら、著者・村上さんがエルサレム賞授賞式でしたスピーチのことを思い出しました。(~以下、翻訳文から抜粋~)

「高くて、固い壁があり、それにぶつかって壊れる卵があるとしたら、私は常に卵側に立つということです。」
「私たちは皆、多かれ少なかれ、卵なのです。私たちはそれぞれ、壊れやすい殻の中に入った個性的でかけがえのない心を持っているのです。わたしもそうですし、皆さんもそうなのです。そして、私たちは皆、程度の差こそあれ、高く、堅固な壁に直面しています。その壁の名前は『システム』です。『システム』は私たちを守る存在と思われていますが、時に自己増殖し、私たちを殺し、さらに私たちに他者を冷酷かつ効果的、組織的に殺させ始めるのです。」

 村上さんはこのスピーチにおいて、「自分は『壁(システム)』側じゃなくて『卵』側に立つ」と宣言しました。(これを『カフカ』に繋げて考えるのはこじつけかもしれませんが、)例えば、ユダヤ人を大量殺戮したアイヒマンのような人間が「壁(システム)側」の人間だとすると、カフカは「卵側」に立つ人間でしょう。

내가 무엇을 상상하는가는 이 세계에서 어쩌면 대단히 중요한일린 것이다.
僕がなにを想像するかは、この世界にあっておそらくとても大事なことなんだ。

と考えるカフカは、たぶん、少なくとも「卵側」に立つ能力・資格を持つ若者でしょう。でも、実際にはまだ本当の「システム」に直面したことはありません。それが、これから起こる(もう起こっているかもしれない)現実の「システム」に対峙したとき、どうなってしまうのか、危うい存在でもあります。

*気になった副詞

지그시 そっと、じわじわと
→ 지그시 누르다 そっと押す

줄곧 ずっと、続けて
→ 줄곧 자신을 터프하다고 생각해 왔다 ずっと自分をタフだと考えてきた

흥건히 いっぱいに、じっとりと
→ 셔츠가 흥건히 젖다 シャツがじっとり濡れる

넌지시 それとなく、暗に
→ 넌지시 비친 게 아니다 それとなく仄めかしたのではない

*次はテラさんです。よろしく~です

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コメント

nikkaさんは小学生時代、とても感覚が鋭い小学生でいらしたのね。私だったら「あ、キレイ」ぐらいで済ましてしまったでしょう(^^;)。
「気になった副詞」、私も下線を引いてあり辞書でも引いた筈なのに意味を覚えていない...。
結局何度も出た単語でないと覚えられないようです。
「엄마를 부탁해」も同時に辞書を引きつつ読んでいるのですが、けっこう同じ単語が何度も出てきます。そうするといくら私でも覚えてしまう。
「カフカ」のおかげで「韓国語の本を読む」ということにそれほど負担を感じないようになりました。

投稿: ハーちゃん | 2009年10月10日 (土) 00時54分

>ハーちゃんさん。

「엄마를 부탁해」読んでるんですね〜!
私も読みたいんだけど、なにせ貧乏暇なしなもので…。
今も仕事場だし
「돼지꿈」は半分くらい読みました。

私も辞書を何度も引いた単語なら記憶に定着するけど、
一度くらいじゃあ、辞書を引いたことも忘れてますね。
時間があれば、単語帳でも作りたいんですが、今は無理そうです。

投稿: nikka | 2009年10月10日 (土) 09時48分

丸太小屋の生活のところですね~

>カフカは、丸太小屋に独り取り残された孤独感と自然への畏怖を強烈に感じます。

本当にそうですね。
私は、見上げた星空の話は、都会でしばらく暮らして久しぶりに
実家に帰ってきたときの星空を思い出しました。

この章で、アイヒマンという人がどんな人がわかって、その後wikiを調べました(笑)
アイヒマンは、カフカ君を際だ出せるために登場されたのかもですね。
それと、アイヒマンの本に書いてあるオオシマさんのメモなどにふれて影響を受けつつ
この章でひとまわり大きくなったような感じを受けました。

ホントこれからも色々読んでみたいと思います~

投稿: まろ | 2009年10月12日 (月) 10時57分

>まろさん。

オオシマさんの話はこれからもどんどん難しくなりますよ~
日本語でも理解するのが難しいところもありますからね。
まろさんはこれから下巻突入ですよね。
最後まで一緒に参りましょう^^

投稿: nikka | 2009年10月12日 (月) 23時08分

1週間出遅れました
私、この1週間何したんだろう。。。

人は一生のどこかで、そういうふうに宇宙の大きさに圧倒されるときがあるのかもしれませんね。
私は遅くて、25歳くらいのときでした。
仕事帰りのバス停で月を見上げたときに、ふぅーっと足元がぐらつくような恐怖感があって、月と自分との距離の遠さを感じたのでした。
それから天体望遠鏡を買って、しばらくは星を見たりしていました。その2年後くらいに信州に移ってきました。

想像力ですよね。今のいろいろな社会問題は想像力の欠如から発生していると思います。
ナチスのこともパレスチナのことも、同じ人間に対してすることかどうかという想像力がきちんと働いていれば起こり得ないことじゃないですか。何か想像力をなくさせるような力が働いているのでしょうね。

次の章、初めてナカタさんのところが担当になったけど、血なまぐさい場面ですね。月曜日くらいにアップできると思います。

投稿: テラ | 2009年10月17日 (土) 17時40分

個人的にパレスチナ問題にすこしだけ関わっていることもあって、エルサレム賞のスピーチ、私にもとても印象的でした。村上春樹はあまり好きじゃないと思っていた私がカフカを読もうかと思ったのも、それがあったからかもしれません。(読んでみたら意外と面白い!ゆっくり読むから、かえって味わい深いのかもしれませんね)。政治的立場から断る人もいるエルサレム賞を受けたのも、あのスピーチがしたかったからだと彼自身が言ってましたよね。丁度昨日パレスチナ人の講演会の通訳をしてきたので、今日もその余韻でパレスチナのことが頭から離れません。昔は卵だった人達が、今は壁の向こう側にいて・・・。

投稿: ソッキー | 2009年10月18日 (日) 23時11分

ソッキーさん、もしかしてアラビア語がお出来になるのですか
私もパレスチナ問題に関心があって、里親運動に協力したりしています。
エルサレム賞のスピーチは本当に感動的でしたよね。

投稿: テラ | 2009年10月19日 (月) 09時37分

とんでもありませんよ!アラビア語は昔ヨルダンで仕事をしていたときに必要に迫られてかじったことはありますが、もう忘却のかなたですよ。通訳は英語です。昨年末からの戦争の時、周りの人々とガザ・チャリティーキャンペーンというのを立ち上げて今も、要請があれば学校や公民館などに出前講座に行きます。当初は二ヶ月くらい集中的にキャンペーンをしていましたが、今はさぼっています。でも若い頃にアラブ世界を経験しているので、体の一部になっているようで他人事とは思えないんですよね。テラさんも里親になっていらっしゃるんですね。今日届いた「パレスチナ子どものキャンペーン」のニュースレターによれば、「ガザ越冬の窓ガラス・キャンペーン」というのをやっているそうです。学校や病院のガラスもまだ壊れたままだとか。

投稿: ソッキー | 2009年10月19日 (月) 21時51分

>テラさん。

想像力…なかなか難しいですよね。
子どもにも常に他人のことにも心を配れる人になってほしい、そのために想像力は大切だ、と思っているんですが、じゃあ、いったいどうしたらその力はつくのだろうか、よくわかりません。
一朝一夕でみにつくことじゃないし、
いろいろな人生経験の中や、人間関係から徐々に身についていくものなのかな?と思ったりもします。
でも何も考えずにいるより、「想像力が大事」だと意識することだけでも、全然違うと思います。

投稿: nikka | 2009年10月24日 (土) 10時43分

>ソッキーさん。

英語で通訳がおできになるんですね!
尊敬~!です
ソッキーさんもテラさんも関心事が同じところにあるみたいで、
カフカが縁で、こういう出会いがあるというのもすごく面白いですね。
ソッキーさんのように「他人事とは思えない」と、たくさんの人が思えるといいなと思います。
うちの娘たちはガールスカウトの活動を通じて、難民問題など勉強しています。
この夏休み、下の子は自由課題で難民について調べていました。
親の強制じゃなく、彼女が自分で調べたいと言ってきました。
小さなことでも何かきっかけになって、自分なりに関心を持っていってくれるといいと思っています。

投稿: nikka | 2009年10月24日 (土) 10時51分

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