法頂和尚がお亡くなりになりました
随筆集『無所有』の著者として有名な법정스님(法頂和尚)が11日午後1時52分ごろ、ソウル市城北区城北洞の吉祥寺で死去した。77歳だった。(「朝鮮日報」より)
高名な僧侶だった法頂和尚が亡くなったそうです。清貧の思想をまさに体現するような生活をしながら、著書『無所有(무소유)』『山には花が咲く(산에는 꽃이 피네)』などがある世界的にも有名な僧侶で、日本でも著作が翻訳・出版されています。
今、物議をかもしているのは、法頂和尚の遺言に、「これまで、言葉によって多くの人に借りを作ってきた。これを来世にまで持ち越したくはない。どうか、わたしの名前で出版したすべての出版物を、これ以上出版しないでほしい」とあったことから、以後、すべての著作が絶版になるのではないか?と喧々諤々としているということです。それゆえ、今、韓国では、法頂和尚の本が売り切れ、過去の本もネットで取引されているということです。
この騒ぎに関して、僧侶の本の編集に携わってきた류시화さんは自身のサイトで、「私は師の遺志であれば受け入れる」とし、これらの騒ぎについて「今は師を追悼すべき時間だ」と世間のうるささを批判しています。その文章を読みながら、涙が出ました。私は無宗教の人間ですが、류시화さんの心から師を悼んでいる文章に胸をつかれました。
류시화さんのサイト「하늘호수」;http://www.shivaryu.co.kr/
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コメント
법정스님入寂のニュースは永豊文庫からのメールで知って、4月にソウルに行ったら本を買おうと思っていたところでした。売り切れとは。。。
故人の遺志を正しく実行するというのは案外難しいことかもしれませんね。
投稿: テラ | 2010年3月19日 (金) 11時08分
「これまで、言葉によって多くの人に借りを作ってきた」と言うのはどのような意味なのでしょうか。とても深い意味がありそうです。
하늘호수のサイトがどういう訳か開けません。後でまたトライしてみます。
投稿: ハーちゃん | 2010年3月19日 (金) 16時36分
>テラさん。
おお!「入寂」という言葉がありましたね!
今、仕事で定家とか西行とか、そういうあたりのことをやっているのですが、著者の原稿の日本語が難しいこと!
日本語の勉強も必要です。
投稿: nikka | 2010年3月19日 (金) 22時37分
>ハーちゃんさん。
この言葉の意味について、同じ「朝鮮日報」記事の中には、「肉体が本来あった場所に戻っていこうとしている中で、これまでに残した言葉や文章を、現世の業報や罪のように思ったのではないか、と解釈している人が多い。」とありました。
)
日本人じゃないから(?)「恥」という感覚はないかもしれませんが、なんとなく失くして「全部チャラにしたい」みたいな気持ちじゃないのかな~?(>って、こんなに軽い感じじゃないかな?
投稿: nikka | 2010年3月19日 (金) 23時24分
류시화さんのサイト拝見し、読ませていただきました。思慕する師の遺志に従う仏弟子の真情が吐露されていますね。
後続の同学の士として、nikkaさんのブログを拝見させてもらっていますが、単にハングル学習の参考にさせていただくだけでなく、いろいろ幅広い情報を教えていただき有難うございます。
投稿: 悠斗 | 2010年3月20日 (土) 07時35分
>悠斗さん。
師と弟子の関係って、すばらしいですね。
封建的な関係だとして批判する向きもあるとは思いますが、純粋な気持ちでお互いを尊重し合えるのであれば、それは本当に大切なことだと思います。
私は浅学で、たまたま目にしたり気になったりしたことをピックアップしているだけなのですが、参考にしていただければうれしいです。
投稿: nikka | 2010年3月20日 (土) 09時47分
朝の手紙で法頂禅師の入滅を知りました。
>법정 스님의 입적 소식에 애도를 표하며
私も検索していて、류시화さんの冷静さというか、落ち着けようとする姿勢が、心打たれました。
投稿: まろ | 2010年3月21日 (日) 10時32分
>まろさん。
入寂という言葉は、そのまま漢字語なんですね。
出版物についてはすぐには結論はでないでしょうね。
遺言といえど、契約などもあるわけですし、
すべて中止・絶版とする場合契約不履行となってしまう補償をどうするか、現実問題としてはいろいろあるでしょうから。
投稿: nikka | 2010年3月22日 (月) 17時12分
しばらくぶりでお邪魔しました。私たまたま「無所有」の本を持っているんです。友達がくれたんですが、なんだか難しそうだと思って、まだ読んでなかったんです。법정스님のニュースを見るまではそんなに有名な方だとは知りませんでした。お葬式(って言わないのかもしれませんが)の時、丁度ソウルにいましたが、テレビで午前中何時間も中継していたのにも驚きました。野外に丸太を組んで、火葬する様子をずっとやっていました。別の友達に聞いてみると、「今はヒーローのいない時代だけれど、법정스님は皆のヒーローだったんじゃないか」って言ってました。
投稿: ソッキー | 2010年3月28日 (日) 22時56分
>ソッキーさん。
この不安な時代に、やはり精神的な支柱になっていたというか、
なにか国民に安心感を与える存在だったんでしょうね
投稿: nikka | 2010年3月29日 (月) 11時43分
過去記事に失礼します^^;
おとといの朝日新聞に、法頂和尚のことが載っていました
韓国のベストセラー本 2010年上半期10位以内に
法頂和尚の本が(無所有も含め)4冊も入っているそうです
絶版の遺言で焦って買い漁った結果だと思いますが^^
記事によると今年12月末まで販売することに決まったそうです
でももうあと半年しかない…
そう思うと余計に読んでみたくなりました(私は煩悩の塊なのだー)
아름다운 마무리という本をプレゼントということで、
さっそく応募してみました
日本で言うと寂聴さんみたいな存在の方だったのでしょうか・・・?
投稿: ★honeybee★ | 2010年7月21日 (水) 16時46分
>★honeybee★さん。
年内販売ですか。
その後はもう絶版なんですかね。
私のイメージでは、寂聴さんよりもっと孤高の人…ですけどね。
投稿: nikka | 2010年7月22日 (木) 09時20分